光の風のアーマ

テーマパークの映画
1992年
26分
解説
「光の風のアーマ」は1992年から長崎のハウステンボスというテーマパークで上映されていた松本零士原作のアニメ作品である。この作品はハウステンボス・アニメワールド内のアニメシアターでのみ鑑賞可能であった。本作は全6話、各13分のシリーズとして企画されたが、実際に制作されたのは第1話と第2話を合わせた計26分の第1部のみであった。
主人公アーマは、星の光の圧力を受けて進む帆船に乗って宇宙を旅するという話。上映されていた26分の作品は、壮大な物語の序章として位置づけられていた。松本零士によれば、物語の最後では、アーマがブラックホールに吸い込まれそうになった敵を助けようと追いかける場面が描きたいという。「同じ宇宙に生をうけた者同士が助けあって生きていく」ことが本作の核心的テーマの一つだという。
松本零士はインタビューで「自然の中で生きる小さな生きもの、特に蜜蜂を主人公にしたアニメーションを作ることは、私の小さい頃からの夢だった」と語っている。また「私は昔から虫が好きで、星が好きで、恐竜が好きで…それらを欲張って全て描いたのがこの作品」と述べている。さらに、人間と動物との関わり方の矛盾も描きたいテーマの一つだと明かしている。
東映動画(現・東映アニメーション)による制作で、作画監督が山口泰弘、音楽が宮川彬良(「宇宙戦艦ヤマト」の音楽を作曲した宮川泰の息子)、動画に細田守(「銀河鉄道999 ガラスのクレア 3D版」の監督など)も参加していた。この作品の制作中に美術を担当した椋尾篁が亡くなった。
あらすじ
舞台は近未来。進化をとげた地球では人間と動物、植物はおたがいに会話ができるようになり、共存共栄の道を歩んでいた。虫たちも人間との交流から進んだ文化を学び、独自の科学を発達させた。主人公のミツバチの少女アーマもそうした科学者の一人である。
平和だった地球にある日不安の影が忍び寄る。草花たちはいち早く不安を感じとり、不安の歌を歌い出した。空を覆い始めた奇妙な音に、カエルたちも不安そうな様子を見せていた。地球に大きな危機が迫っていたのだ。
アーマの国の女王ビーナスカは、この異変の原因をつきとめようとしていた。ビーナスカは進化して文明を築き、人類と対等になった時代の蜜蜂の指導者であり、女王蜂として全ての一族を生み出す母でもある。彼女はアーマに対し、琥珀に封印されて「助けて!」とテレパシーを送る謎の蜜蜂を救出するよう命じた。
アーマが開発した冬眠システムの技術によって、琥珀から解放されたその蜜蜂はミライヤといった。彼女は驚くべきことに三億五千万年前の地球から来たのだった。その時代、何か大きな異変が起こり、全盛を誇っていた恐竜たちは滅び、ミライヤは琥珀の中に封印されていたのである。
ミライヤは時間を旅する能力を持っていた。「アーマならこの危機の原因がわかるかもしれない」と考えたミライヤは、アーマを連れて自分が生きていた三億五千万年前の世界へと時空を超えて旅立った。
二人は調査の結果、恐ろしい真実を知ることとなる。公転周期が三億五千万年の魔女惑星カルミラが再び地球に接近しているのだ。カルミラは超楕円軌道を回る太陽系の一族で、激しい高速自転によって表面の破片を宇宙空間にまき散らし、通過時に地球に大きな災厄をもたらす正体不明の惑星である。
かつて恐竜たちは無力にカルミラの脅威に滅ぼされたが、今のアーマたちには知恵と科学力がある。地球を救うため、破壊の原因を食い止めるべく、小さな蜜蜂たちは勇敢に宇宙へと旅立った。果たして彼女たちは地球の危機を救うことができるのだろうか?
キャスト
アーマ
(川村万梨阿)ミライヤ
(戸田恵子)ビーナスカ
(池田昌子)カルミラ
主題歌
- UNソング: タイトル不明